お地蔵様? 1

 閲覧してくださり、ありがとうございます。

不動明王様の御用をしているおばあちゃんのところへ通うようになってしばらく経った後の印象的なお話です。

その日私はバイトがお休みだったので友達に誘われてドライブへ行きました。
高校といっても高専だったので、多分その時は4年生ぐらいの頃だったかもしれません。

車に乗っておしゃべりしながら峠道に差し掛かった時に、
ふと窓の外を見ると、
山道なのに、道端に小さなお社が立っているのが見えました。
そして中には、煤けた感じの、小さなお地蔵様が鎮座していました。

「あれ、こんなところにお地蔵さんがあるわ。」
と思いました。

一瞬の出来事だったので、そのまま通り過ぎてしまいました。



翌日、いつも通り学校が終わったらバイトに行きました。
そうしたら、
下半身が重くて重くて、痛くて痛くて仕方がないような状況になりました。
激痛でした。

バイトは靴屋さんの売り子さんだったのですが、
とてもじゃないけど重くて痛くて立ってられないような状況でした。

そこで、
バイト先のパートのおばさんにお願いして、
早退させてもらいました。

バイト先ではいつも私がレジ上げをしてその日の日報をつける役割だったので、
それができるパートさんに無理言ってラストまでいてもらいました。

んで、
バイト先から直接おばあちゃんのうちに行きました。
バスなんか乗り継いでいられないぐらいに辛かったので、
バイト先の商業施設の前からタクシーでおばあちゃんの家まで行きました。


おばあちゃんの家についてチャイムを鳴らしたら
おばあちゃんが
「来たね。くると思ってたよ。」と言いました。

そして
「あんた次は何を拾って来たんだい?」
と厳しめに私に言いました。

「まあ、そんなこと言ってもしょうがないから、不動明王様にご挨拶しな。
すぐにあんたに乗っているその人にお伺いを立てようかね。」
と言ってくれました。

そしてまた「霊査」が行われました。
「このものに憑いているのは誰ですか?」と。

そうしたら
また私の口が勝手に喋り出しました。




「地蔵じゃ。」
と。







はい?
地蔵?
地蔵って地蔵?







その時に、前日に峠の道の脇に佇んでいた煤けたお地蔵様の姿が脳裏によぎりました。






「あなたのせいでこのものの体が重くて足が痛い状況になっているのですね?」
とおばあちゃんは言いました。
「いかにも。」とお地蔵様は言いました。

「なぜそのようなことをしたのですか?」
とおばあちゃんが言いましたら、
「あの峠では交通事故が起きて地蔵が建てられた。それが私だ。だがそのあと、
誰1人として私を参るものも祈るものもおらん。
自分勝手に要求を突きつけてその場所を守らせて、
そのあとは放っておきっぱなしとは何事か。
私は怒っておる。人間よりも高い立ち位置のはずの私が、まるで人間の召使のようにいいように利用されているだけではないか。」

「守ってもらったのなら守ってもらってありがとうの一言ぐらいないのか?我々神仏は人間どものしもべではないのだぞ!いいように利用だけして、あとは知らん顔とは一体何事か。」

「我々は設置されて魂を入れられたら、その場所から動けない。足があってもそこから移動することが叶わないのだ。その苦しさ、痛みが今このものが味わっている苦痛だ。」

と、お地蔵様はプンスカ起こりながら一生懸命訴えていました。

おばあちゃんは
「ですがお地蔵様、なぜこのものに取り憑いたのですか?」
と言いました。

そうしたらお地蔵様は
「このものが神仏と繋がっていることがわかったからな。
この者に乗っかっていけば私の訴えもわかってもらえると思ったからじゃ。」
と言っていました。

おばあちゃんは
「このものがお地蔵様に何かご無礼をしたというわけではないのですね?」
と言いましたら
お地蔵様は「いかにも。」と言っていました。

そうしたら
不動明王様がおばあちゃんの体にドカンと乗っかりました。
そしてお地蔵様に説教をし始めました。
「自分の欲求をわかって欲しいという自分の身勝手な気持ちだけでこの者に取り憑いてここまで来ただと?だからお前は地蔵止まりなんだ!。」
と。


意識がある私は、
「なんかよくわからないけど、不動明王様に怒られてる〜・・・。」
とビクビクしていました。

「とにかくこの地蔵はこのものから剥がして、後で説教だ。」
と言って不動明王様は私からお地蔵様を離してくれました。

その途端に足の痛みがふっと楽になりました。


「あ、お地蔵様、いなくなった。足の痛み、なくなった。」
と思いほっとしていたら
次は私がおばあちゃんからお説教を受けました。

「あんたは自分の力で何もできないくせに、
不動明王様と繋がっているからといって調子に乗っているんだよ。だから変なものを色々連れて来てしまうんだよ。調子に乗るのもいい加減にしな。自力で解決できるのかい?できるのだったら別に調子に乗ってても何も言わないけど。そういうふうに余計な相談事を持ってこられて、大変な思いをするのは結局私なんだよ。正直迷惑なんだよ!こっちにだって生活があるんだからね!」
と。



まあ、ごもっともです。
全くその通り。



そこからおばあちゃんからの説教は延々と続くのでした。

続きます。

読んでくださってありがとうございました。

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